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【コーチング】肚落ちに至るまでのプロセスに、丁寧に寄り添う。

納得して動けるようになるには、大いに道草が役に立つ。

【suzuさん】Youはどうしてコーチングを?vol.2

コーチにインタビューしながら対談していく企画、『Youはどうしてコーチングを?』vol.2の記事です。

今回は、こんな人にお役立ちできそうです

・会社員をしながら、副業でコーチングをしたいけれど、まだ副業が解禁されていない…。できるように変えていく挑戦をしたい。

・社内にコーチング的な関り方を導入し始めて起きた変化と、今後の展望について事例やヒントが欲しい。

・THE COACH Academyのプロコースについての体験談に触れたい。

・コーチングって何をしている時間なんだろう?を理解するヒントが欲しい。

今回の対談相手:suzuさんのご紹介記事

僕があれこれ語るより、こちらの記事をご覧頂いた方がsuzuさんのことがよくわかろうかと思います!suzuさんをひとことでご紹介するなら、「保健室の先生みたいな優しさと慈愛の象徴」みたいなコーチです!!!

こんな人が書いてます

7か月の息子がオムツ替えのときに回転しまくって困り果てている新米父。
コーチングを学び始めてから1年、魅せられて専業コーチとして独立してからは10か月が経ちました。

変容の物語と鶏のから揚げと妻をこよなく愛しています。

1.副業でコーチングを可能にするまでの挑戦

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― suzuさんが、会社での副業解禁に向けて規定を変えるところまで実現されたことが、「ものすごいな!」って感じています。

THE COACHのインタビュー記事をご覧頂くと、めちゃくちゃ私が押し込んだ感がありますけど、実際はそんなことなくて。 笑

当時、じわじわと「副業したい」という声が社内で広まりつつあったんです。人事領域にコンサルを入れて、社内規定の見直しが行われる、という話を聞いて。その際に若干の根回しをしつつ、「併せて副業規定の改訂をして欲しい」と働きかけたんです。


― 実際に組織を動かすにあたっては、壁にもぶつかったのではないですか?

そうですね。やっぱり目的がうまく伝わっていないと、単に「会社外で稼ぎたいんじゃないか?」とか、「それを機に転職するんじゃないか?」みたいに思われてしまって。

私は社内で社員のスキルアップを担当していたので、「私がコーチングを身につけて挑戦していくことは、本業にも還元されて会社にとってもメリットしかないです。」、という話を伝えるようにして。段々と誤解を解いていきましたね。


― 随分とうがった見方をされてしまうんですね。

ちゃんと話をして目的を知ってもらわないと、一般的にはそういった見方をされてしまうんではないかなと思います。

「私の仕事にとって絶対プラスになるから、会社にとってもいいはずですよね!」と言い続けていたら、途中から「そうかもね」みたいな空気に変わっていきましたね。



― 例えば「会社の中で業務としてやってくれるのなら、お金を個別にもらわなくてもいいんじゃない?」といった話にもなりましたか?

そうですね。たしかに会社の中でも社内コーチ的なことをやっているんですけど、「それ以外の時間でもやりたい」というのがあって。

その理由のひとつに、(コーチングを学んだ)THE COACH Academyの認定資格に挑戦するにあたって、「有償セッション100時間」という要件があって。

社内の業務としてそれを満たそうとすると、私の業務時間のほとんどがそれになってしまって、「さすがにそれはまずいな…」、と。それなので、資格にチャレンジするための積み重ねは、「会社外を中心にやりたい」と言いましたね。

「副業を解禁して欲しいです。自分自身の挑戦と両立したいんです」と伝えました。


― 社内の方向けのコーチングセッションは、業務の中でされているんですか?

社内でも私がプロコーチとしてやっていることを知っている方もいるし、知らない方もいるんです。

社内では研修を担当しているので、研修をやったあとのアンケートで、「もっと突っ込んで個別に相談したい方・MTGをやって定期的に話す場をつくりたい方はお声掛け下さい。お申込みお待ちしています。」という形でお送りしています。

それで手を挙げて下さった方と、1か月に1回、別の場所でお話をする、という形をとっています。

― その取り組みをはじめてどれくらい経つんですか?

まだ短いですね。9月に呼びかけをして、10月からスタートしたので1か月くらいですね。その前から、「どうやって社内で違和感なくコーチングマインドを拡げられるかな?」とか、困っている方々がいるのは感じていたので、「寄り添えるのかな?」というのを模索していた期間があって。

これまでも「1on1で話したい」という方に個別にセッションをやってはいたんですけど、「もうちょっと仲の良い人や、私がコーチングをやっていることを知らない人にも届けていくにはどうしようかな?」というのがあったので、研修後のアンケートを活用することにしました。

― 「新しいことを導入しよう」ということや、「コーチングの概念を伝える」ことって結構ハードルがあると思うんですけど、価値の訴求の観点ではどんなメッセージを中心に据えられたんですか?

実は、研修の場でけっこうコーチングを採り入れているんです。今の取り組みは、その延長線上に置いているところがあります。

ファッション系の会社に勤めているんですけど、例えばバイヤーさんがいて、バイヤーに対して集合研修をオンラインでやるときに、世代を混ぜたり、職場で普段関わらない人を混ぜたりする。

そういう場づくりでもグランドルールとして「否定したりしないようにしましょう」とか「小さな声を大事にしましょう」とか、Academyで採用しているようなルールを設けています。

チェックインで場に集中してもらい、ネクストアクションを決めてもらい、次の研修までに行動してきてもらい、次の場のチェックインでまた自己開示をしてもらう…そういうやり方をしてきたんですね。

「自由に話せる場っていいね」とか、「話が外に漏れない前提で自分の悩みを話せるって、すごく気が楽になって、前に進みたい気持ちが増すね」という声が出ていました。

そういう声に対して、「研修期間が終わっても個別にやりませんか?」と投げかけた感じです。「安心して自分の課題や悩みを開示しながらステップを踏んでいける場づくり」を価値として置いたって感じですね。

― めちゃめちゃAcademyの場における学びを活かされていますね!

チェックインだったり、「この場」のルールを毎回設定をしたり、「心理的安全性」という言葉の解説をいれたり。そういうことも結構やっています。

普段わーっと仕事をしている場とは「別の場」を提供しよう、というのは意識してやりましたね。

― 先に「価値を感じられる場」を創られて、社員さんたちに体感して頂いた上で活動を拡げていかれたんですね。

そうそう!実は社内ではあまり「コーチング」という言葉は使っていないんです。

「個別ミーティングをしましょう」とか、「業務の範囲内で好きなことを話せる面談の場」といった言い方で。日常の業務の延長線上…ではあるのだけれど、ちょっと「異空間」みたいな感じで捉えてもらえるといいなと。

あまり警戒されない方がいいかな、と思っているので。

― それはコーチのマーケティング上も「必要だなぁ」と感じるお話です。

そうですよね。やっぱり社内で話すとなると、「仕事をしないで、ただお喋りをしている、って思われたらどうしよう?」という社員さんの気持ちもあるんですよね。

私はスキルアップ担当で第三者機関の立場なので、クライアントになる方の上司の方にもその辺りをある程度開示して、「私と個別のミーティングをもっても大丈夫」、という場をつくっています。

逆に、仕事とまったく関係の無いライフコーチング的なものはこの場では扱わないとか。そのあたりは気にしていますね。お互いが社内でやるときの心理的安全性のために。

― 企業向けのコーチとか、社内コーチングの際にライフコーチングをした結果、「この会社じゃない!!!」って至る可能性もありますもんね。

そうなんですよ。そういう場をもし望むのであれば、社外で個別に有償でやる方がいいのかな、と思っていて。社内でやる以上はスポンサーは会社なので。

個別にコーチング、ミーティングの場をもつときには事前に軽く面談を設けるようにしています。「仕事での課題感や、仕事で頭を整理したいとか、仕事に関する悩みについての話をしようね。話はこの場限りだから漏らしません。」、と伝えていますね。

あと、ミーティングの中で直接の指示はしません。「上司の進捗面談とは違うよ」ということは事前に伝えるようにしています。

2.組織づくりとコーチング

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― suzuさんが個人に対して場づくりをすることを通じて、新しいカルチャーができるとともに、組織づくりに繋がっているように感じます。

この1か月取り組まれてみて、「こんなところが変わってきたな」という肌感覚はおありですか?

やっぱり、「聴いてもらう場って日常に無いんだな!」というのをすごく感じて。みんな「すごいスッキリした!」と言ってくれるんですよね。

仕事に追われている中でのたった1時間くらいの話なんですけど、ご自身が考えているコトをバーッと話して頂き、問いかけを交えながらセッションをしています。

会社なのでホワイトボードがあるんですけど、そこに話の中身を描きながら「これとこれ繋がっているんだね!」「これ大事だってよく言ってるね」といったことを話すと、「私の心の中ってこうなっていたんですね」と言ってもらえて。

普段の仕事では見えなかったことが見える時間なので、そういった発見をしてくれる社員さんがいると、こちらとしても嬉しいなと思いますね。

― ホワイトボード使いながらのコーチングスタイルにめちゃめちゃ興味あります。

普段はオンラインでコーチングをやる時にも、「外には出さないので、チャットに書き出していいですか?」と許可をもらってからやっているんですけど、それをホワイトボードを使ってやっている感じですね。


― リアルがゆえの良さも感じました!

皆さん、最後にその写真を撮られていきますね。持ち帰って、何かあった時に見返そう、となっています。

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― この取り組みを始められてから、「suzuさんと社員さんの関係性」や「チームの一体感」といった切り口から感じられる変化はありますか?

前から結構、個人的な相談を受けることが多かったんです。仕事の進め方とか、モチベーション維持の仕方とか。

個人的なアドバイスに留まっていたものが、コーチングをとりいれたことでもうちょっと可視化されることが増えたというか。もっと仕事に役立てるような形にしてあげたいな、という気持ちになっていますね。

関係性という切り口ではまだそんなに変化を実感してはいないけれど、「何かがそこにはあったよね」、というのをお互いに感じて仕事に戻れる時間になっています。「ただ雑談しただけではない」っていう時間。

― マネジメント層からすると、業績寄与(PLにどう寄与するの?とか)が気になることもあるのかな、と思うんですけど、例えば半年~一年経ったときに「こんなことが変わっていそう」と思うことってありますか?

「自分で自分の仕事をコントロールしている」っていう、自分で自分の手綱を握っている感覚が根付くといいなぁ、と思っていて。結構、振り回されて混乱して、やりたいことが見えなくなって、優先順位がみえなくなっている人が多い印象があるんです。

それで、コーチングの時間を使いながら頭の整理をしたり、やりたいことの整理をしたり、価値観・軸を再発見したりということを通じて、仕事をスムーズに、自分でコントロールできる状態へ成長していくのがベストかな、と思います。

―社員さんが 「自立」していかれる姿が見えますね。

そうなんですよ。マネージャーとして私ががっつりやっていたときは、部下の課題は私自身の課題でもあったんですよね。丸抱え、みたいな。「見捨てないよ!」みたいな思いが強すぎて、一緒に課題解決して、一緒に喜ぼうとしていたんです。それはそれで良かったし、信頼も得ていたと思うんですけど。

コーチングって、クライアントの課題はクライアント自身の課題じゃないですか。コーチが「自分の課題」にするわけじゃない、というか。その感じが今、社内でやる時もあって。

「それ一緒に解決しよう」とか「一緒に上司に言いにいこう」ではなくて、「その人が自分で動くにはどうするんだろう?」ということが関心事。その辺が「自立」「自走」できる状態に繋がっているような気がしますね。

― コーチング的な発想なしで1on1をやると、業務指示や当事者として一緒にやろう、というところに寄ってしまいがちかもしれませんね。

直属の上司の在り方としてはいいのかもしれないし、本当に苦しい時にはそういう共感が救いになることもあるんですけどね。

私は人材育成の専門の第三者機関のような立場なので、課題を一緒に丸抱えするわけじゃないんですよね。そういった立場がコーチングとリンクしていて、やりやすかった、というのはあるかなと思います。

― イイ意味で当事者性が切り分けられているんですね。

そうですね!当事者になりすぎないのが、コーチングの時間を創り出すうえではリソースになっているな、と思いますね。

現在社内では10人くらい社員さんとお話する時間をつくっているんですけど、その一人ひとりの課題を全部自分ごとにしたら私がつぶれてしまうじゃないですか。そうはしない。

この距離感がコーチングの進め方というのと合っているように感じますね。

― 主体性を奪いすぎないというか。あくまで本人が発揮できる主体性の範囲をご自身で決めて走って頂けそうな気がしました。

「こんなことを今やりたいのに、できない…」といったことを深掘っていって、最終的に「あ。これは自分の価値観と繋がっているから、最初に挙げたんだな。」ということを肚落ちしてもらう。そのプロセスを経ると、やろうと思っていたことをやるモチベーションが全然違うというか。コーチングって基本的には、そういう肚落ちタイムだと思うんですよね。

それなので、こういう時間を社内で持つことで、自分がやるべき業務の価値を自分の中にもてる、というか。「言われたからやる」ではなくて、「私も大事だと思っているんだ。だからやろう。」と。そういう循環が生めるといいな、と感じています。

― 本人のパーソナルビジョンと、業務との繋がりを自覚して頂くんですね。

そうですね!ホワイトボードに描きだしていった矢印が、出発点にもどって「繋がったじゃん!」「ほんとだ!じゃあやる!!!」みたいな感じですね。

自分がなぜそれを口にしていたのかが自分でわかる瞬間があると、仕事のモチベーションはすごく高まるし、建設的に取り組めるのかなって思うんですよね。

― 本人が思っていることを「場に出せた」といったプロセスがとても大切に感じますね。

そうですね。そしてそういう時間は普段全然とれないですね。

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― 今は10人くらいの社員さんに個別ミーティングを提供されていると思うんですけど、以前suzuさんは90人くらいの組織のマネジメントをされていましたよね。

コーチって労働集約型のお仕事なので、自分の稼働がボトルネックになってしまうと思うのですが、社員さんの自立支援を始めて得た変化の兆しをもとに、あらためて90人~100人のマネジメントをするとなったら、何を活かせそうですか?

やっぱり、間に入ってくれるリーダー層・マネージャー層に対して「やるべきことがあったな」、と感じますね。一番現場に近い層の声を汲み上げたい、という想いはあったんですけど、「間に入る人がどう現場に向かっているのか?」ということを、自分の眼鏡だけで見ていたな、と。

「間に入るマネージャーさんたちが、どんな眼鏡をかけて現場をみているんだろう?」という視点を、今だったらもてるかも、と思うんですよね。

それなので、今後社内でコーチングをするにしても、こういう「間の層」にはたらきかけたいな、というのを野望としてもっていますね。

― 中間リーダー層に対して、「部下の願いを聴ける」というやり方だったり、向き合い方を伝えるような関わりもできそうですね。

やっぱり悩みが多いじゃないですか。部下育成の責任をもっている、とか。その立場って日々悩むし、正解がないですよね。追い詰められちゃうことも多い。それをわかった上で、風穴をあける視点をもてるといいだろうなぁ、と思います。

― 間に人を挟んだマネジメントをする上で、役立つ指標があるとしたら、なんだと思いますか?

そういうの、あるといいですね。コーチングとはちょっと離れるのかもしれないんですけど、マネジメントをする上で「特別な場じゃなく、ルーティンの中に危険信号を察知するものを埋め込みたい」みたいな想いがあって。

例えば、毎朝の朝礼をして顔をみる時間をつくるでもいい。以前やっていたのは、週に1回、15分だけ「もやもやを吐き出す会」を中間層とやっていました。特にお題は決めず、「今週どうだった?」みたいな。そういう普段との違いを察知できるルーティンの場。

わざわざ「suzuさんちょっといいですか?」と話しに来るのはよっぽどのことだと思うんです。そうではなく、「15分のあの場で言おう」と思える場をつくっておくとか。

変化を察知するには、そういう仕組みの中に採り入れられるといいな、と思っているんですよね。

― 中間層だと、定期的な1on1のようなものがあると良いのでしょうか?

必ずしも1on1だけに限らなくて。リーダー層を集めた何人かの雑談の場でいいんですよね。1対1の場って緊張感を生むときもあるじゃないですか。「だからこそじっくり話せる」という場合もあるんですが、雑談の中に滲んだ「実は大変なんだけど、みんなどう思っているのかな…?」みたいなことの中に、変化の兆しが隠れていることがあると思うんですよね。

あまり深刻じゃない状態で口に出せる場、が必要だと思っています。

あとは、同じくらいの階層の人同士で「どうやってる?」と相談できる場も大事だな、と思っていて。そのあたりも大切な気がします。

「評価・判断をされない安全な場」が、一週間の中に10分でも15分でももてるだけで、職場の安全性って全然違うんだろうな、と思いますね。理想としては。

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― ビジネス的な組織だと、上司部下の関係性だったり、同期同士であっても競争原理の強いカルチャーだったりすると、どうしても評価・判断がつきまといがちですよね。そういう中のオアシスというか、「安心・安全の場」があると、息継ぎが出来そうな気がします。

加えて、「ヘルプを出すのもスキル」なんですよね。「私今いっぱいいっぱいなんですけど…」って言えるスキル。

でもそのスキルを熟成するためには、安全な場が定期的に存在していて、「わざわざ話す場をセッティングしなくてもいい場」があることが大事だな、と思うんですよね。

― 僕ヘルプ出すのめっちゃ下手なんですよ!

まーさんは何でもできそうな気がするから 笑

― このタイプって、周りから気付かれなかったりするんですよね。だからこそ検知の必要度合いが高いようにも感じています。

そういう人って、コーチングを学ぶと、自分に気付きやすくなりますよね。私がマネジメントをガッツリやっていた頃に、事情があって退職する部下がいたんです。そんなときにすっごい落ち込んでいた時期があって。感謝されてはいるんです。「すごいイイ職場で楽しかったです」と言ってもらえて。

だけど、めちゃくちゃガッカリしている自分に気づいて。当時は「なんだろうこれ?」とわからなかったんですが、多分傷ついてたんですよね。自分が見捨てられたような気がして。

そういうのも、セルフコーチング的な発想で向き合えるようになると思うんですよね。「私のこのひっかかりはなんだろう?」「このモヤモヤはなんだろう?」と気付く。

自分のいっぱいいっぱいな状態に気が付いて、「何が起きているのか?」に目を向けられるようになったら言語化出来て、人に話せるようになる。そう考えると、コーチングマインドって大事だなぁ、って改めて思いますね。

― 本人のレジリエンスも高まるし、それを「伝え合える」安全性もあるとより良いんでしょうね。自分がいっぱいいっぱいだって、案外自分では気づけないから。

そうですよね。昨日、実は私いっぱいいっぱいだったんですよ。そのとき後輩に「先輩詰んでますね!」と話しかけられて「そうなの!」と出せたんです。

― 例えば安全じゃない関係性で、「余裕無さそうだね」と言われても、反目しかねないと思うんです。

その際にはパートナーシップがすごく大切だと思うんですけど、そういう観点からsuzuさんが取り組まれているコトって何かありますか?

「評価・判断しない」というのも一つ。あとは、ありきたりかもしれないけれど、「気付いたことを口にして感謝する」こと。褒める、というと上下関係がありそうで微妙に感じるんですけど。

例えば片づけをしてもらったときに、「片付けてくれて偉いね」ではなくて、「片付けてくれたんだね」と気付く。それだけでめっちゃ嬉しい。

変化に気づいて、それをそのまま伝える、というのはなるべく気付いてしたいな、と思っていますね。

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― 事実に気づいてテーブルに並べる感じですね。

まさにそれですね!「偉いね」といった評価をつけずに、「そうなんだね」とそのまま受け取って見たままを伝える。それでもやった本人にとっては貢献感に繋がる。それなので、気づきを口にする、というのは意識しています。

― 僕も上司に「自分の行動を見ていてもらえたんだ!」とわかるメッセージをもらってめちゃくちゃ嬉しかった経験があります。

以前、私の部下が異動になったときに、その方の同期の別の方が入ってくることになったんです。「上司になるsuzuさんってどんな人?」という話になったらしくて。

もともと私の部下だった方が、「suzuさんは、自分が100のものをもっていたとして、自分の部下が10しかもっていないとなったときに、”10しかないんだ”ではなくて、”10を持っている素晴らしさ”を力説してくれるよ。

だから、10をもった状態で飛び込んでいけばいいよ。いつかそれが100になっているかもしれないから、安心してチームメンバーになればいいと思う」と伝えてくれたそうなんです。

「それをきいて安心してきました!」という話を結構あとになってから聞いて。すごく嬉しくて。そんな風に思ってくれていたことも嬉しいし、そういう関わりができていたと思うと、すごく自信になったんですよね。

― その紹介は嬉しいですね!

今思えばコーチング的な関わりでしたね。その人がもっているものにまず焦点をあてる、という。「まず持っているものから」で十分じゃないですか。

3.Academyで過ごした時間

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― suzuさんにとって、THE COACH Academyのプロコースってどんな時間でしたか?

どちらかというとクライアント体験の方が強いイメージで残っていて。「勇気の面に光を当てたい」というビジョンを持っているんですけど、その光を当てたい相手が、かつての過去の自分だったことに気づいた瞬間に鳥肌が立ったんです。

「私は誰にコーチングをして、誰の伴走をして、誰を勇気付けたいのか?」と思ったときに、そういうことを求めていたのだけれど、当時の自分はそれを見いだせなかった。そのときの頑張っていた自分に光を当てたいんだぁ、ということに気づいて、すごくジーンとして。

「コーチングにエンパワーメントされるってこういうことか!」ということを受け取りましたね。

だから、クライアント体験としてそういう嬉しさを感じたことがあるというのがこれからの自分がコーチとしてやっていく上ですごくリソースになるのかな、と。そういう体験をさせて頂いて本当によかったなと。

― ほんとクライアント体験って最大のリソースですよね!

ほんっとにそう!信じられるからコーチングを。

― 自分自身が挑戦して変化を得た体験をしているからこそ、これから向き合う相手のことも信じられるような気がします。

そういう瞬間が、すぐじゃなくてもそれぞれのペースで訪れたり、気付いたりする瞬間が来る。焦らなくていいし、悩んだり模索する時間も肯定できる感覚を実体験できたのが嬉しいな、と思いますね。

だからプロコースの時間はスキル的なことの上乗せの時間ではなくて、クライアント体験をじっくりしたことが自分の中ではこれから熟成されていくだろうし、よかったな、と。

「プロコーチにならないと受けちゃいけない空気ですか…?」と訊かれたこともあるんですが、全然そんなことなくて。

コーチングを信じ切れないとか、迷っている人こそどうぞ、という感じですね。色んな人が受けて欲しいです。

― 今後suzuさんがコーチング活動をしていく上で、唯一かつ最大の課題があるとしたらなんだと思いますか?

今は、クライアントさんとの出会いは知り合いから紹介頂いたり、THE COACHの中のコーチたちと練習で接点があった時に「受けさせて欲しいです!」と言って頂くことが多くて。

だからすごく自分の中の安心安全の場でやらせて頂いているんです。たまにTwitter等経由で全然知らない方に連絡頂いて始まることもあるんですけど。

すごく自分自身を守りながらやっているので、「その外の世界ってどうなんだろうな?」というのがイマイチわかっていないんですよね。まだ駆け出しだからそれで十分という想いもあるので、焦る気持ちはないんですけど。

全然コーチングを知らない人に、コーチングの良さ・価値を感じてもらいながらのセッションが、果たして自分にできるのだろうか…?というのが課題かなと思っていますね。

― そんな場面に出会いそうな時期っていつ頃だと思いますか?

目下の目標としては、THE COACH Academyのリード役をやりたい、という想いがあって。その経験を経た後か、同時進行かな、というイメージがあります。自分の中で経験値を積みたいな、という想いがあるので。

― それをお聴きして握手したくなりました!THE COACHのコミュニティ、いいですよね。

コミュニティはすごくあったかいですし、自分の段階に応じて練習相手の方々に出会えるのがすごくイイ仕組みだなと思いますね。最近カルチベーター(スクール内で講師のサポートをやる役割)をやって、場をつくる側に回るのも楽しそうだなぁ、という想いがふつふつと湧いてきていますね。


4.コーチングについて

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最近、ユング心理学の読書会に参加しているんですけど、感情をイメージ化するじゃないですか。そのイメージを詳細に積み上げて言語化する過程で、自分の心の底から「そうだ」と思える言葉や表現に出会えた時にスッと肚落ちすると思うんですよね。この「肚落ちする」というのがパワーを湧き出させると感じていて。

例えば、「私のビジョンは太陽です!」とか、「私のもやもやは石ころです」とか。その言葉自体はよくある言葉なんですけど、本人にとって「まさにそうなんです!」という言葉を見つけた瞬間、わくわくにしろもやもやにしろ、次の建設的な一歩が踏み出せるような気がするんです。

コーチングって、クライアントさんとの対話の中で「腹落ちできる瞬間をみつけていくプロセスだな」と思います。私がやっていることって、そのプロセスを丁寧に歩んでいくことなんだなって最近よく感じるんですよ。

丁寧に寄り添う、という日常になかなかない時間だからこその肚落ちなんだな、と。だからワクワクにしろモヤモヤにしろ、次の一歩をクライアント自身の口から出てくるときって、自分の中でしっくりくる言葉・表現を見つけて、それを大事にしようと思えたときなのかな、と思っています。

― たとえ同じところに辿り着くとしても、最短距離でいくのではなく寄り道して辿り着くことがすごく大事というか。

例えば「私は風になりたいです」という話を聞いて、「ふぅん」と思うかもしれない。だけど、本人にとってすごくしっくりきているのなら、他の方にとってありきたりな単語だとしてもめちゃくちゃ大事なお守りになると思うんですよ。

そういうものを自分の中に見つけていくプロセスを、丁寧に伴走しているんだなぁ、と。だからこそクライアント自身の口から出てくる言葉がすごく大事だな、と思いますね。

― (共感しすぎて)ハイタッチしたいですね!

コーチングにおける勇気付けが、ただの励ましと何が違うのかな?というのを結構考えていて。ただの励ましや応援と違うのは、本人が肚落ちした上で一歩を踏み出すかどうかなのかな、と。

コーチングの場における勇気付けって、コーチが勇気付けているのではなくて、「クライアントが自分自身を勇気づけられた瞬間に起きる」と思っているんですよ。

それを一緒に起こしていくのが、コーチという存在で。丁寧に逡巡や迷いに付き添うことができる器でいると、それが起きやすいのかな、と思いますね。

― クライアントさんに出し切ってもらうのを目指す、ってとても大切だなと感じます。

そういう風に全部出せる場自体が貴重ですよね。しかもそれを待って聴いてもらえるってありがたいですよね。

つい最近、旦那さんが実家の人と話したらしいんですけど、「みんな被せて話してくるから全然話せなかった!」と言ってて。普通の日常ってそうだよな、って思いましたね。

文章に起こして読んでみると全然噛み合ってない一方通行な話って多いですよね。

― 今日はすごく最前線のお話を聴けました!

会社が今改革の真っただ中で、めちゃくちゃ混沌としているんです。その場の波にうまく乗っていきたい、という感じでやっているところもありますね。

すごくうまくいっている会社だとまた違うところもあると思うんですけど、気持ちがざわざわしている人が多そうだな、というのを肌で感じていて。だからこそ寄り添える場があるのかな、という気がしていますね。

コーチングをやってみて思ったんですけど、「失うもの何も無いな」と。自分のもっているリソースを出し惜しみせず提供して、その瞬間ごとに最適な寄り添い方を目指せばいいんじゃないかな、と思ってやっています。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

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